気持ちが伝わる「生きてる言葉」

美辞麗句は響かない』 これも好江が言っていた事の一つです。
とはいえ、毎日お客様の前で漫才をしている我々は、美辞麗句を遣えなくてはいけません。 ここが大事な所です。美辞麗句を遣えなくてはであって、遣わなくては、ではないのです。漫才があまりバカ丁寧に話しても、それが狙いでない限り笑えないでしょ?日常会話だって同じだと思うんです。

 例えば皆さんが、電車内で杖をついたお婆ちゃんに席を譲ったとします。この時、お婆ちゃんがニッコリ笑って「どうもありがとう。」と言ってくれるのと、「大変難儀をしておりました所、席をお譲り頂いて、お礼の申し様もございません。」と深く頭を下げられるのと、どっちがいいですか?
ご意見様々おありでしょうが、筆者の私見を申し上げれば、
前者は『喜んでもらえて良かった』と感じますが、
後者は『・・・時代劇。』としか感じません。
ことほどさように堅苦しい言葉では気持ちは伝わらないものです。

以前、好江がこんな事を言いました。

標準語で漫才したって面白くでも何でもないよ!

皆さん『?』と思われたでしょ? そうなんです。好江や筆者が普段遣っているのは東京弁の下町言葉であって“標準語”ではないのです。ちなみに筆者、標準語で喋れません。標準語って難しいんですよ~! NHKのベテランアナウンサーさんがニュースを読む時お遣いになる言葉、それが標準語です。あんな堅苦しい言葉遣いの漫才、笑えませんよね。
“正しい日本語”と“堅い日本語”は違います。少々ざっかけなくても、それが正しい日本語であれば気持ちは伝わり易いし、漫才も楽しんで頂けると思います。

好江は所謂“若者言葉”を嫌いましたが、これも無闇に「ダメ!」と言うわけではありませんでした。 「言葉は時代と共に変わって行くものだからある程度の対応はかまわない。でも元をちゃんと知っときなさいよ。」と。実際、好江自身も漫才の中で 「チョベリバ~!」 って言ってた事がありますしね。

若者言葉といえば、これは余談ですがある先輩漫才師のお話を。 語尾を上げて喋る若者言葉があるでしょ?若いマネージャーがそういう話し方をした時
「やめて!私そういう喋り方大っ嫌い!私達は言葉で商売をしてるから、そういう言葉遣いは腹が立つの!友達と話してるんじゃないんだから仕事場じゃやめてっ!!」
お説ごもっとも。筆者も同感でした。 が、 ここからがいけません。この先輩、その30分後に漫才の中で、さっき息巻いて「やめてっ!」と言っていた“語尾上がり”を二度も三度も多用してるじゃありませんかっ!!好江のチョベリバとは違い明らかに無意識。
この方、ずいぶんと好江に憧れていたので 「あ~うちの師匠の真似したかったんだろうな・・・」と思いましたが、上っ面だけ似せても実が伴わなければ・・・・・
案の定、数年後に廃業なさいました。

ここにも度々登場させております愚弟、すっきりソング・マコト。これがまたバカ丁寧というか丁寧バカというか・・・弟子に取った当初、こんなメールを寄越しました。

『本日は勉強させて頂き、ありがとうございます!お食事、ご馳走様でした!
お食事中色々なお話しを聞かせて頂き、勉強になりました!ご
注意頂いた事を忘れず頑張らせて頂きますので、これからも宜しくお願い致します!
それでは、失礼させて頂きます!おやすみなさいです。』

・・・何これ? まず、頂き過ぎっ!!筆者は好江に対してここまで頂いた事がありません。 そして、長過ぎっ!!もっと簡潔にまとめて頂きたい! そんで、おやすみなさいですって何だっ!! タラちゃんか!
ここまで頂かれると『これ小バカにされてんじゃないか?』と疑ってしまいます。
『本日は漫才からお食事までありがとうございます!ご注意頂いた点、しっかり留め置きます!それではおやすみなさいまし。』これで伝わりませんか?

ちなみに最後の『まし』は男の(商人)言葉で『ませ』は女言葉だそうです。
治療の効あって、現在はマコトの症状も安定しております。 美辞麗句や標準語、事実を正確に伝えるには優れていますが、気持ちを伝えるには好江が言っていた 「生きてる言葉を遣うの。」 が一番です。

今回はこの辺で。まっぴらごめんなすって!

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